彼岸に咲く約束の花
難易度:★★★★ / シナリオ傾向:探索系 / 現代日本
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【はじめに】
このシナリオは探索者1〜4人向けにつくられている。
オリジナル要素を含んでいる。
条件によって戦闘あり。
推定プレイ時間(ボイセ):3〜4時間
推奨技能:目星、信用
探索者の中に10~30代の女性が1人必要。
【シナリオの概略】
お姉ちゃんを一緒に探そー!
「やくそくまもるぞ☆」by盲目女性
【登場人物】
◆芦澤 菫(21)
盲目。身体の弱い女性。
ふわふわロングで儚くて可愛い。
◆芦澤 椿(26)
菫の行方不明の姉。
黒髪ストレートで意思が強そう。きれい。
◆芦澤 明子
菫と椿の叔母。
薬剤師をやっている。
◆芦澤 英二
菫と椿の叔父。
【導入】
舞台はそこそこの都会、十二死町です。
探索者たちは公園にいます。公園にはシロツメクサがたくさん咲いています。
そんな中、頭に包帯を巻き杖をついてヨロヨロと歩いている女性が探索者たちに焦った様子で近づいてきます。
そしてその女性は、そのまま探索者の女性の一人に泣きながら抱き着いてきます。
「姉さん…!この香りとその声!姉さんね?ずっと探していたのよ…!」
探索者はその女性の姉でもなんでもないのですが、とても声が似ていたようで盲目の彼女は勘違いして抱き着いてきたようです。
人違いだと伝えると彼女は丁寧に謝ると、そのまま顔を真っ青にしその場でひざをついてへたり込んでしまいます。
そして「申し訳ないのですが、体調がすぐれないので家にまで連れていってもらえないでしょうか?」と頼んできます。
また探索者が香りについて聞くと、「姉はシロツメクサが大好きだった」と教えてくれます。
【菫の自宅】
高級住宅街に佇む立派な一軒家です。
彼女を自宅まで送ると家には誰もいないようです。
彼女の部屋は2階でベッドまで運んでほしいと頼まれます。
ベッドで一息つくと探索者たちに迷惑をかけたことを謝り、自宅に連れてきてくれたことに御礼を言います。
そしてさらに話を続けます。
「実は、私はもう長く生きられないそうです。
死ぬ前に、どうしても3ヶ前に行方知れずになった姉と会いたくて、それでずっと姉を探していたんです。
叔父と叔母からは姉を探すことを止められているし、私は友達もいません。
それに、叔父と叔母も2日ほど戻ってきていないんです。
あなた方に、こんなお願いをするのはずうずうしいとは分かっていますが
私と一緒に姉を探すのを手伝ってもらえないでしょうか?」
と涙ながらにお願いしてきます。
Q.目が見えないのはいつから?
A.実は2週間ほど前、自宅で襲われたんです。
ただ、その時のことは恐怖のせいか全然覚えていません。
叔父と叔母が私の部屋にかけつけてきた時には、部屋で血だらけで倒れていたそうです。
頭には獣に噛まれたような傷跡があり、その時から目が見えなくなりました。
そして、同時に脳に障害を負ったようで、何かを調べたりすることが苦手になりました。
判断力や思考力、記憶力が落ちてもいるようです…。
Q.判断力や思考力、記憶力が落ちてるの?
A.焦ったりすると、先ほどのように勘違いしたままちゃんと確認せず行動にうつしてしまったりして判断力も落ちてると思います。
あと襲われてからは、覚えておけないことがとても多くなりました。
Q.叔父と叔母が帰ってきていないのは?
A.分かりません。
もしかしたら、私が覚えていないだけで私に何か伝えて出かけているだけかもしれません。
Q.両親は?
A.両親は10年ほど前に交通事故で亡くなりました。
それから、姉と一緒に叔父と叔母に引き取られました。
私もそのころから身体をこわしたので姉には本当に辛い思いをさせたと思います。
Q.叔父と叔母はなぜ姉を探すことを反対している?
目の見えない、頭も悪くなった私が探しても無駄だし危険なだけだって言ってます。
Q.何の病気?
A.原因不明だそうです。
叔母が薬剤師で医学にも長けているので、病院にはほとんど行かず家で叔母に診てもらってるんです。
Q.いや、病院行けよ。
A.実は家は貧乏で…。病院に行くお金がないようです。
Q.姉が行方不明になる前、変わった様子はあったか?
A.実は姉は自分の意思で家を出て行ったんです。
姉は、自分の人生を削って私の看病をしてくれていました。
大学に行くことも諦めて、私に尽くしてくれました。
けれど、もうそれが嫌になってしまったようで…当然ですよね。
出ていくとき「もう、うんざり。あんたさえいなければ、私はもっと楽に生きれた。」って言われてしまいました。
その時、私何も言えなくて…自己満足かもしれませんが、どうしても最後に姉に謝りたいんです。
最後に聞いた姉の言葉が頭から離れないんです。
Q.姉の写真はあるか?
A.机の上の写真たてに飾っている。
Q.姉の名前は?
芦澤 椿です。26歳です。
探索者が外に探しに行くことを伝えると菫は自分ももう大丈夫だから連れていってほしいと頼みます。
連れてく場合は、ちょいちょい体調辛そうにしますが、頑張ります。
あと、ちょいちょい足を引っ張るような行動をさせてください。
菫は一見足手まとい要員ですが、連れていくとクライマックスで探索者を助けてくれます。
連れて行かない場合は、何か進展が合ったらすぐに教えて欲しい。姉に会いたいと頼んできます。
探索者にはとにかく菫は椿に直接謝りたいと思っていると伝わるようにしてください。
このシナリオのクリア条件は椿を見つけることではなく、菫が椿に謝ることだからです。
【菫の部屋】
女の子らしい部屋で、ベッド、タンス、机がある。
机の上には、菫と椿の2人がとても仲よさそうにうつっている写真がある。
椿は黒髪ストレートで意思が強そうな美しい女性である。
また、タンスの上には黒髪ロングのフランス人形が置かれている。
<アイデア>に成功で椿に似ているな、と気付く。
フランス人形について菫に尋ねると
「それは、父と母が生きてた頃、姉と私に似せて作ってもらったんです。
姉はその人形を置いていったので、そこに私の人形と2体並べて座らせているんです。」
探索者が1体しかないことを告げると、菫は焦り目が見えなくなる前は絶対にあったこと、どこかにやった覚えはないのに叔父か叔母がどこかにやってしまったのかもしれないことを探索者に伝えます。
【芹澤家リビング】
高級な家具などがおかれており、とても貧乏には見えません。
棚の上には明子と英二が写っている写真が飾られている。
探索者が<目星>に成功すると、ゴミ箱の外に破かれたとわかる小さな紙が見つかります。
紙には「二さんへ」と書かれていることがわかります。
さらにゴミ箱を調べると他にも破られたとわかる小さな紙が何枚もあることがわかります。
この紙を全て集めて修復すると探索者が宣言した場合、DEX*5ロールに成功すれば紙をつなぎ合わせて修復できたことにし1枚のメモであるとわかります。
メモには下記の通り書かれています。
「英二さんへ
受け渡しは、予定通りとなりました。
合言葉は『常に新しい巣を』です。
門の入り口は、あの方の力を借り常に開いていますが、水がなくなると閉じてしまうので水を絶やさないようにしてください。
よろしくお願いします。
明子」
また、食器棚を調べると瓶に入れられた液体の薬が見つかります。
ラベルなどは貼られていません。
もし探索者がこの薬に<薬学>をし成功したら、今までみたことがない薬ということが分かります。
飲んだらちょっと体調が悪くなります。
【芹澤家ほかの場所】
椿の部屋は出て行った時のままで、特に情報がありません。
叔父と叔母の部屋は、もし探索者が<鍵開け>などで開けた場合は部屋から魔導書が見つかります。
魔導書は叔母が魔術師的な存在とにおわすためだけのアイテムなので重要ではないです。
アトラック=ナチャがのってる魔導書が探しても見つからなかったのでネクロノミコンということにしときます!
【病院】
もしかしたら、探索者は菫を病院に連れていこうとするかもしれません。
その時は、医者に診てもらうことができます。
医者は「原因はよくわかりませんが、毒物を摂取したときの症状によく似ています。
今、生きているのが不思議なくらい衰弱しています。何とか気力で持っている状態でしょう。」
と言います。
その状態の菫を連れていくことにかんしては「もう長くないでしょうから、本人の好きにさせてあげてもいいかもしれません。」と答えます。
【町で聞き込み】
椿の写真を見せて、町で聞き込みをすると椿を知ってる人が見つかります。
その人は、よく行く喫茶店で働いている女の子だということと、その喫茶店の場所も教えてくれます。
【喫茶店】
喫茶店は昔ながらの古い喫茶店といった感じで、二階建ての建物です。中に入ると優しそうな紳士なマスターがいらっしゃいませと声をかけてくれます。
マスターに椿について尋ねると、悲しそうな様子で教えてくれます。
「椿ちゃんは、うちで住み込みで働いていたんだ。この喫茶店は上の階が住居になってるんだけど、私は今は別のところで暮らしていて、ちょうどあまっていたし、彼女行くところがないって言ってたからね。
よく働くとてもいい子だったけど、2週間前ぐらい前に突然いなくなってしまったんだ。
どうしてもお金が必要で、2〜3日別の場所にバイトに行くと言ってたんだけど、そのまま帰ってこなかったんだ。ただ、荷物はそのまま上の部屋にあるから、いつか帰ってきてくれるんじゃないかとは思ってそのままにしてるんだけどね。」
警察には届けたか確認すると
「警察には行ったんだが、わたしは家族じゃないからね。追い返されてしまったよ。
だから、家族に知らせるため椿ちゃんの自宅に電話したんだけど、おかあさんなのかな?その人が電話に出て『椿がどうなろうとわたしには関係ないので電話してこないでもらえますか?』と言われてしまってね。」と答える。
マスターに事情を話し椿の部屋を探索していいか尋ねると快諾してくれる。
【喫茶店二階(椿の部屋)】
机とベッド以外ほとんど物がない簡素な部屋です。
机の上には枯れたシロツメクサが飾られています
机を調べると椿の日記が見つかります。
【椿の日記】
○月×日
もう疲れてしまった。
菫が病気になってから、私はずっと働きっぱなしだ。
叔母さんが言うには菫に効く薬はとても高いらしい。
両親が残してくれたお金も薬代にすべて消えてしまった。
叔母さんも叔父さんも一生懸命働いてくれているし、私だって菫のために頑張るしかない。
○月×日
菫のことはとても可愛く思ってるし大切な存在だ。
なのに、夜中うなされている菫を看病してそのまま寝ずに一日中働く日が続くと、苛々して仕方がなくなる。
分かってる、菫が悪いわけじゃない。
だから、菫の前では一生懸命笑ってみせる。
○月×日
小さい頃、両親が死んだとき、私は悲しくて悲しくて仕方がなかった。
ずっと泣き止まない私に菫は目に涙をいっぱいためて
「わたしがいっしょだよ。ずっといっしょにいるから、なかないで」
と言って、どこから摘んできたのかシロツメクサをくれた。
自分だって悲しいだろうに、泣くのを我慢してるのが分かった。
その時、決めたんだ。私が菫をずっと守るって。
○月×日
ずっと働き通しで、まともに寝られる日がない。
○月×日
しばらく、熱を出して寝込んでしまっていた。
叔母さんが診てくれて、過労だろうと言われた。
「私が働かないと、妹の薬が買えない。」
そう言って重い体を持ち上げようとした時、叔母さんが言った。
「無理しちゃだめよ。菫ちゃんも
『姉さんは働くしか役に立たないのに、病気になられると困る。』
って言って心配してたわよ。」
その言葉を聞いた時、目の前が真っ暗になった。
○月×日
あの言葉を聞いてから、菫のことが信じられなくなった。
菫のことを疑ってしまって、うまく笑えない。
今までいろんなことを犠牲にして菫のために働いてきた。
それなのに、働くしか役に立たない、なんて。
○月×日
家を出た。
菫にひどいことを言ってしまった。
幸運にもすぐに住み込みで働けるところを見つけることができた。
○月×日
しばらくぶりに、昼は働いて夜はぐっすり眠れる日々が続いた。
マスターはとても優しい。
人間らしい暮らしが続いて、菫に言った言葉に後悔する。
なんであんなことを言ってしまったんだろうか。
○月×日
菫に謝るために、手紙も電話もした。
でも、菫は私と会いたくないし声も聞きたくないと言っていると叔母さんから聞かされた。
直接、家にも行ったけど叔母さんに追い返された。
何度謝っても謝りたりない。
菫、ごめんね。
○月×日
叔母さんから連絡があった!
妹の病気が手術でなおるかもしれない!
でも、手術代がないらしい。
そのお金さえ用意できれば、菫は許すと言っていると叔母さんが言った。
どんなことをしてもお金を用意したい。
○月×日
今日、喫茶店でよく来てくれているお客さんに「とてもいいアルバイトがある」と声をかけられた。
話を聞いてみると2〜3日かかる治験のようなものらしい。
妹の手術代と同じぐらいのアルバイト料だった。
私にできることなんて、これぐらいしかない。
【マスターへの聞き込み】
日記を読み終わった後、よくきていた客について聞くと
「あぁ、確か椿ちゃんが働きだしてからだっけな?よく来ていたよ。
よく椿ちゃんに話しかけていたし、椿ちゃんが辞めてから見ていないから、本当に椿ちゃんがお気に入りだったんだろうね。」
と答えてくれる。
また、いつも帽子を深くかぶっていたから顔はよく分からないが若そうだったこと、下の名前は分からないけど苗字は「薬袋(みない)さん」という変わった名前だったこと、いつも派手なライターを使っていてそのライターに「Medicine bag」と書かれていたことを教えてくれる。
Medicine bagという単語を聞いた探索者は<知識>か<ナビゲート>に成功すると、この町の治安の悪い地域にある小さなクラブだということがわかる。
また上記の情報を取得した後、探索者が暴力団組員や警察、探偵であり<知識>に成功すればMedicine bagの薬袋とはドラッグを売りさばいているという噂が流れていることを知っていてよい。
上記に失敗した人は、聞き込みとかして場所を突き止めてね。若者とかに聞くといいと思います。
【Medicine bag】
雑居ビルの地下1階にある小さなクラブ。
夜にしか営業していないが、夜に行けば普通にお客さんとして中に入れる。
音楽が爆音で流れており、何人か派手な若者がお酒を飲んだり踊ったりしている。
ドリンクカウンターとトイレ、奥にはスタッフルームと書かれた扉がある。
スタッフに薬袋のことを聞くとオーナーということが分かる。
ただし、会いたいと言っても忙しい人だから、という理由で会わせてくれない。
仮に探索者が薬袋がドラッグを売りさばいていると確信しており、「ドラッグが欲しいから会いたい」と言ったとしても、スタッフは「薬袋はドラッグなんて売っていない」と断られる。
薬袋の性格は慎重で、ドラッグを売る相手を選んでおり、絶対密告しないと判断できる相手にしか売らない。
スタッフも薬袋がドラッグを売っているなんてことは知らない。
ただし、薬袋は金には弱い。
薬袋に会うためには例えば下記の方法がある。
・芹澤英二か芹澤明子の名前を出し、それをスタッフに伝えてもらう。
・儲かるビジネスがある、とスタッフに伝えてもらう。
・スタッフルームに突っ込む(自動的に戦闘となる)。
・薬袋がクラブから出てくるまで外で待ち伏せする。
逆に、椿のことを聞きたいと伝えてもらったりすると、薬袋は警戒し自分の意思では探索者に会おうとしなくなる。
【薬袋に聞き込み】
薬袋に話を聞く場合、戦闘に勝利し脅して吐かせるか、なんらかの交渉で吐かせることになる。
☆戦闘以外で吐かせる
まず、どのような理由で会ったとしても薬袋は探索者に疑惑の念を抱いています。
もし、探索者が何の技能も使わずに薬袋を信用させる場合は、自分たちが芹澤夫妻の使いであると言ったうえで芹澤家のリビングで見つけたメモの合言葉を伝えなければなりません。この2つをクリアした場合、薬袋はすぐに探索者を信用します。
椿の居場所を聞くと、探索者がそのことを知らないことに若干疑念を持ちますが、薬で眠らせ小屋で英二に引き渡したことを教えてくれます。
またその小屋の場所も教えてくれます。
それ以外の方法だと、それなりのRPと<信用>のロールに成功する必要があります。
この場合は、薬袋は探索者と意気投合した気になり、一緒に酒を飲もうとクラブの方へ誘いだします。
しばらくクラブで酒を飲み交わすと、薬袋は少しだけ打ち解けるので、それとなく椿のことを聞き出しましょう。
☆戦闘で吐かせる
この場合、薬袋と男性スタッフ1名との戦闘となる。
男性スタッフ1名のステータスは、めんどいのでお任せします!!!
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<薬袋>
STR16 CON18 SIZ14 APP11
POW10 DEX10 INT12 EDU11
耐久力 16
DB +1D4
拳 50%
武道(ボクシング) 50%
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戦闘に勝利した場合でも、薬袋は椿の居場所は吐きませんが、薬袋の携帯に椿をどうしたか分かる情報があります。
携帯はロックがかかっていますが、指紋認証でも解除できるので薬袋の親指を使って解除しましょう。
携帯のメール内容から
・Sの名前の人物とメールのやり取りをしていること
・椿に薬を飲ませ眠らせ山中の小屋にて引き渡しの約束をしていたこと
・山中の小屋の場所
・Sはフリーメールを利用しており誰かは特定できないこと
・報酬は薬だったこと(ただし違法なものかどうかは書かれていない)
ということが分かります。
【山中の小屋】
薬袋から手に入れた小屋は車を1時間ほど走らせた山中にあります。
人気が全くなく、車で辿りつけるのは途中まででそこからは道なき道を歩くことになります。
小屋は、小さい掘っ立て小屋で外には井戸、水道とバケツがあります。
小屋の中はぼろぼろで、斧やロープ、ランタン、シャベルなどが置かれています。
【井戸について】
井戸は直径1.5mほどの大きめの井戸です。
井戸には蓋がされていますが、簡単に開けられます。
探索者が井戸に<目星>に成功すると、井戸には水があまり溜まっておらず底が確認できることが分かります。
さらに<知識>の半分か<歴史>に成功すると、井戸というのは川のように地中で繋がっていますが、この井戸はただ水が溜まっているだけなので、もともとは枯れ井戸だったんじゃないかと分かります。
この井戸にはられている水は、叔母である明子がアトラックナチャの力を借り<窓の創造>で作られた地底洞窟と繋がっている門です。
見ただけでは分かりませんが井戸の水の中にはいると、地底洞窟に飛ばされます。
<窓の創造>についてはルルブp284参照。
探索者がロープなどを使って井戸の底に降りようとすると、水の底は浅く見えるのに底がない。
それでも、井戸の底に降りようとロープの手を離すとそのまま水の中へ落ちていき、地底洞窟へと飛ばされます。
【地底洞窟】
探索者は、井戸の水から落ちると暗い大空洞のような場所にいることに気がつきます。
一応SANチェック!
0/1
足元は水たまりがあります。水たまりから出て、もう一度中にはいるとまた井戸の底につながります。
洞窟の水たまりは天井の鐘乳石から滴る水滴でできており、あちらこちらにあります。
ここで探索者が出てきた水たまりに何らかの目印をつけていない場合は、帰る時に<幸運>を振って成功しなければ帰れません。
大空洞は、あちこちに道がつながっているようです。
探索者は<目星>に成功するか足元をランタンなどで照らすと、一本の道に数本の太い蜘蛛の糸が地面にこすりついていることが分かります。
蜘蛛の糸は普通の蜘蛛の糸より何倍も太く丈夫だということが分かります。
この道が正しい道となります。
もし探索者がこれ以外の道を選んだ場合、迷ってしまい<ナビゲート>と<幸運>に成功にしなければ最初にいた大空洞に戻ってこれません。
1度失敗するごとに疲れから全ての技能に−10%の補正を追加していきましょう。
【糸の道の先】
道の先を進んでしばらくすると、どんどんと蜘蛛の糸の量は増えていきやがて
太い蜘蛛の糸がびっしりとはり巡らされて、先が見えなくなります。
先へ進むには蜘蛛の糸を切るか掻き分けながら進んで行くしかないでしょう。
さらに進んで行くと少し開けた場所にたどり着きます。
そこは一見、蜘蛛の糸でできた洞窟に見えるほど蜘蛛の糸が壁や天井に張り巡らされています。
そして天井からは蜘蛛の糸に巻きつかれるようにして垂らされている人間がいます。
その人間は、中年の男性と女性で探索者がリビングで明子と英二の写真を見ていればそれが2人であることに気づきます。
2人は衰弱しているもののまだ生きてるようです。
さらに、蜘蛛の糸で作られた小さな椅子に人形が座っています。
その人形はフランス人形で、菫にとても似ておりシロツメクサを握っています。
蜘蛛の糸の洞窟から、さらに奥へ進む道もあります。
明子か英二に話しかけると、衰弱しているものの意識を取り戻します。
2人はひどくおびえているようで、助けてほしいと探索者にたのみます。
ナイフか斧があれば糸を切り助けることは可能です。
助けて欲しければ真相を話せと言うと明子が話します。
「もっとすごい力が欲しかったのよ。
だから、あの方の力を借りるために、誰か生贄として捧げなければならなかった。
でも、毒に耐えられる娘は少ない。
そのために、菫にゆっくり少しずつ毒を与えて耐性をつけてきたのよ。
それがまさか、ダメ元で捧げた椿が毒に耐えられるなんてね、ふふ。
あの子もあの姿になってから、最初のころは自分をコントロールすることもできた。
凶暴な自分を、自分の欲望を抑えることができたの。
でもだんだん、それも無理になって私たちを襲った。
もうあの子、中身まで怪物よ。」
明子から上の話を聞き終わるか、フランス人形を調べようとした場合描写。
描写『ふと、奥から異様な気配がした。
糸の影からゆっくりと姿を見せる何本もの真っ黒な脚、緑と金のしま模様の脈打つ腹部、それらから巨大な蜘蛛を連想させた。
しかし、その姿が全て見えた時、ただの巨大蜘蛛ではないと探索者は確信する。
蜘蛛の巨大な脚と腹部の上には椿の上半身があった。
融合するように、まるで別の生き物が一つの生命体として存在している姿に探索者は恐怖を覚える。
椿は探索者を見つけるとニヤリと笑い低い声で唸り鋭い牙を見せた。』
<アトラック=ナチャの娘>マレウスp16
SANチェック
1/1D8
STR23 CON18 SIZ18 INT10 DEX13
耐久力18
DB +2D6
噛みつき 75% 1D10+毒(POT20)
装甲 5ポイントの硬いうろこ
探索者には蜘蛛椿は探索者に襲いかかろうとしていること、おそらく勝てないであろうことを匂わせて逃げるように誘導してください。
すぐに逃げる場合はDEX対抗ロールは不要です。
もし蜘蛛椿の攻撃を交わし奥に進みたいと宣言した場合、許可してもいいですが、進んだ先には深い渓谷とアトラック=ナチャが糸で橋を作っています。(詳しくはルルブのアトラック=ナチャ参照)
さらに蜘蛛椿が追いかけてくるので挟みうちになり、ほぼ死ぬことになります。
明子と英二を助ける場合、フランス人形を持っていく場合もDEX対抗ロールに成功しなければなりません。
失敗すると攻撃されます。
また、ここから、菫をつれてきているかどうかで分岐します。
【菫を連れてきている場合】
とにかく一刻も早く逃げなければならないという状況で、菫が頭を抱えてその場にうずくまります。
「うぅ…頭が…。この声は…?姉さんなの…?何か思い出しそう…。」
菫は椿の変わり果てた姿は見ていませんが、うめき声から姉を連想し、さらに何かを思い出そうとします。
そのため、その場から自力では全く動きません。
もし置いて逃げるとすれば、菫はそのまま蜘蛛椿に襲われ噛みつかれ殺されます。
その間に水たまりのあった大空洞まで何の技能もなく逃げ切ることが可能でしょう。
連れて行く場合は、菫のSIZは10なのでSIZ10と探索者のSTRとの対抗ロールに成功すれば、抱えることができます。
そのまま蜘蛛椿とのDEX対抗ロールに成功すれば水たまりの大空洞まで逃げ切ることができます。
水たまりまで到着し、もし何も目印をつけていなかった場合は<幸運>に成功しなければ水たまりを見つけられません。
後ろから蜘蛛椿は追いかけてきています。
もし、<幸運>に失敗した場合は蜘蛛椿の攻撃を1度かわし、もう一度<幸運>に挑戦する必要があります。
無事に井戸に繋がる水たまりに入ることができれば【菫の覚醒】へ
【菫の覚醒】
井戸までくると菫もなんとか自分の意思で動けるようになり自力で井戸から出ることができます。
しかし、最後の探索者が井戸から出ようとするとすぐに背後から蜘蛛椿が追いかけてきます。
蜘蛛椿は軽々と登り、井戸から出てきます。
逃げようとした菫が体力のなさから転んでしまいます。
椿は転んだ菫を狙い噛みつこうとします。
菫は椿に噛みつかれることによって、2週間前自宅で襲われた時の記憶を思い出します。
菫が噛みつかれる場合はイベントなので自動成功でいいですが、もし優しい探索者が菫をかばうといった場合は一応ダイス振ってください。
もしかしたら噛まれたら死んでしまうかもしれません…。
イベントなので、それで死ぬのはかわいそうだな、と思ったらシークレットダイスで振って噛みつきが外れたことにしてあげてもいいかもしれません。
噛みつきが外れた場合や、菫以外が噛みつかれた場合は、菫は近くで聞く唸り声で自宅で襲われた時の記憶を思い出します。
噛みつかれて血だらけの菫は(噛みつかれてない場合は無傷だけど!)
「そうだ…思い出した…。あの時、私を襲ったのは蜘蛛になった姉さんだった…。
姉さんは私を殺そうとしたけど、途中でいつもの姉さんにもどって…。」
そこまで言うと突然呻き苦しみ出し、描写。
描写『菫が呻き声をあげ、苦しみにもがくと、ゆっくりと前に倒れた。
そしてそこにいた探索者たちは、彼女の腰が信じられないほどふくらんでいくのを目撃した。
突然、下半身の皮膚が裂け始め、黒く光る脈打つ何かが見えた。
そして、裂け目から黒くぬめぬめしたものが現れた。
菫の下半身からは何本もの蜘蛛のような巨大が脚が生えていた。』
変容が終わると、どこか穏やかな顔で菫はまたつぶやきます。
「みなさん、姉は私がなんとかします。
門を閉じてください。もう二度と私たちがこちらに来れないように。」
そういうと椿に向かっていきます。
椿は全く攻撃をやめる気配はなく、近づいてきた菫に手加減なしに噛みつきます。
しかし、菫はまるで平気そうにそれを受け入れ椿を抱きしめ、ゆっくりと椿を井戸の方へ押していきます。
噛みつかれながら菫は「ごめんね、姉さん、ごめんね」と何度も繰り返します。
そして、とうとう井戸の底へと椿と一緒に落ちていきます。
「姉さん、これでずっと一緒だよ。」
言葉が、井戸の底から聞こえた気がしました。
そのあと、井戸の底からは気配はしません。
門を閉じる方法ですが、
・井戸の水をなくす(砂などで埋める)
・明子を殺す(明子を連れてきている場合のみ、遺体の処理がめんどくさいことになる!)
・明子に頼む(明子を連れてきている場合のみ、明子は井戸の水がある限り開けたり閉めたり自由にできるのでいうことを聞かせるにはそれなりの交渉が必要)
になります。
門を閉じないと、正気を失った蜘蛛姉妹がまたやってきて人々を襲う可能性があります。
明子を助けてない場合は明子が死ぬのでそのうち勝手に閉じますが。
門を閉じると<エンディングA:地底に咲く約束の花>へ
【菫を連れてきていない場合】
しかし、最後の探索者が井戸から出ようとするとすぐに背後から蜘蛛椿が追いかけてきます。
蜘蛛椿は軽々と登り、井戸から出てきます。
蜘蛛椿を井戸へ戻すためには、フランス人形を持ってきている必要があります。
持ってきている場合は、フランス人形を井戸の底へ落とすと蜘蛛椿は慌てて拾いに戻ります。
フランス人形を持ってきていない場合は、STR対抗で蜘蛛椿を井戸へ押し戻し、落とすことが可能ですが、攻撃はされます。
さらに押している間はこちらは攻撃できないので、絶望的です…。でも、がんばれ!
もし、探索者がさらに逃げる場合はもう一度DEX対抗をし成功すれば逃げ切れたことにしましょう。
その場合は<エンディングD:逃げた先にあるのは>
蜘蛛椿が井戸の底に戻った場合、もしくは底に落とせた場合は【苦しみの底】へ
【苦しみの底】
探索者は急いで門を閉じる必要があります。
門を閉じる方法ですが、
・井戸の水をなくす(砂などで埋める)
・明子を殺す(明子を連れてきている場合のみ、遺体の処理がめんどくさいことになる!)
・明子に頼む(明子を連れてきている場合のみ、明子は井戸の水がある限り開けたり閉めたり自由にできるのでいうことを聞かせるにはそれなりの交渉が必要)
になります。
おそらく、砂で埋めるのが一番簡単かと思います。
探索者が砂で埋めると、井戸の底は少しずつ埋まっていきます。
しかし、泥と化した井戸の底から、蜘蛛椿の片手が出てきます。そして、人形をつかんだもう一方の片手と怒り狂った表情の顔も出てきます。
探索者が砂を落とす作業を緩めなければ、上半身がこっち側にきたタイミングでで完全に門が閉じてしまいます。
つまり椿は、井戸側に上半身、地底側にそれ以外の部分という中途半端な状態で、身動きできなくなります。
椿は、しばらくは探索者に対し唸り声をあげ身動きを取ろうと暴れ続けますが、しばらくすると動けないのを悟り大人しくなります。
そして、フランス人形を持っていればそれを抱きしめすすり泣き始めます。
探索者が声かけると「ヴゥ…コロシテ…」と唸り声とともに頼んできます。
この状態の椿は斧を頭に振り落とせば死にます。
放置したとしても、いずれ衰弱で死ぬでしょう。
このイベントが終わると探索者のところに電話がかかってきます。
それは病院からで、菫が危篤状態なこと、菫がくりかえし探索者たちに連絡してくれと頼んでいたので連絡したことを教えてくれます。
病院へ向かうと【菫の願望】へ
【菫の願望】
病院に到着すると、菫は点滴につながれており、意識も朦朧としてもう長くはないと一目でわかるほど衰弱しています。
そして、ずっとうわごとのように「姉さん、ごめんね…」と何度もつぶやいています。
ここで声が似ている探索者が椿のふりをして返事をするか、そうでないかでエンディングが変わります。
椿のふりをする場合は<エンディングB:天国に咲く約束の花>
椿のふりをしない場合は<エンディングC:約束は彼方へ>
【エンディング】
<エンディングA:地底に咲く約束の花>
あの事件から数日が過ぎた。
町からは奇怪な殺人事件や失踪事件が起きることはなくなり、探索者に平穏な日々が戻って来る。
あのよく似た姉妹はどうなったのだろうか?と頭によぎった時、風にのってシロツメクサの香りが探索者の鼻をくすぐった。
香りとともに「ありがとう」という2人の声が聞こえた気がした。
トゥルーエンド!
<エンディングB:天国に咲く約束の花>
探索者が椿のふりをすると菫は最後の力を振り絞るように声を大きくした。
「姉さん…?姉さんなのね…!
ごめんなさい…わたし、ずっと姉さんに甘えっぱなしだった。
これからは、わたしが姉さんの力になるね。
ずっと一緒だよ、これからは…ずっと…。」
そういうと、大きく息を吸った。
まるでろうそくの火が消えるように、椿の命が消えていくのだろうということがわかった。
椿はゆっくりと息を吐くと、穏やかな表情をし小さな声で「ありがとう」と呟いた。
ハッピーエンド!
<エンディングC:約束は彼方へ>
菫は苦しそうに呟く。
「姉さんは…見つからなかったんですね…」
菫の閉じられた瞼から涙がこぼれ落ちる。
落胆した彼女は、もう生きることを諦めたように大きく息を吐いた。
「ごめんね…」
悲しさを背負ったまま彼女の命は消えていった。
バッドエンド!
<エンディングD:逃げた先にあるのは>
探索者全員<幸運>を振ってください。
一番出目の低かった探索者がロストです。
探索者は、あのおぞましい怪物から逃げ切ることができた。
しかし、忘れたころあなたが眠っている部屋に”それ”がやってくる。
低いうめき声、黒光りする脚。
そう”それ”は間違いなく、あの蜘蛛の怪物だった。
逃げようとしたあなたが最後に見た光景は、蜘蛛の牙であなたの世界は暗闇へと飲み込まれた。
バッドエンド!
【クリアご褒美】
<エンディングA:地底に咲く約束の花>
SAN値1D10の回復
<エンディングB:天国に咲く約束>
SAN値1D8の回復
【まとめや真相】
幼い頃両親が死んだ姉妹は叔父と叔母の家に預けられることになる。
魔術的なものに興味を持っていた叔母は、アトラック=ナチャに娘を献上することにより、力を手に入れようとしていた。
アトラック=ナチャの毒に耐えたもののみアトラック=ナチャの娘として変容できるが、毒に耐えられる娘は少ない。
叔母は長い期間少しずつ毒を与えることにより耐性をつけ菫をアトラック=ナチャの娘に変容させようとしていた。
毒が効いて菫の命が危なくなってきたころ、椿をそそのかし菫と喧嘩別れさせる。
その隙をつき、椿を騙しアトラック=ナチャの生贄として献上した。
アトラック=ナチャに噛みつかれた椿はなんと毒に耐えぬくことができ、アトラック=ナチャの娘として変容することとなった。
幼いころ約束した「ずっと一緒にいよう」という言葉から、椿は菫に執着し菫を襲うが途中で我に返り代わりに菫によく似たフランス人形を連れて帰った。菫は襲われたショックと姉が怪物になってしまったショックからそのことを忘れてしまうが、もう一度襲われた時そのことを思い出す。
【読まなくてもいい感想】
私は!ダクソの!蜘蛛姉妹が!だいすきだー!!!!