【はじめに】
このシナリオは探索者1~4人向けにつくられている。
オリジナル要素を含んでいる。
条件により戦闘があることを伝える。
推定プレイ時間(ボイセ):3~4時間

【シナリオの概略】
とあるお金持ちのお父さんがいなくなった!
調べていくうちに、お父さんは詐欺やら不倫やらやってるクズということが分かる!
「クズには制裁を!!」by奥さん

【登場人物】
◆滝野 沙織(27)
滝野家の一人娘。
おっとりしている。髪は肩より少し下ぐらいで薄茶色。
整った顔だちで清楚な印象の洋服を着ている。
現在は結婚し旦那さんは婿養子として滝野家にきた。
専業主婦で、娘がひとりいる。2歳。
探索者たちに行方不明になった父親を探して欲しいと依頼してきた。

◆滝野 龍之介(57)
沙織の父親。
一代で事業を成功させた。
県内に自転車屋を3件経営。容姿は、横に大きく威圧感がある。
写真をみるとサングラスにスーツ、葉巻をくわえている。

◆滝野 楓(53)
龍之介の前妻。
1ヶ月前に亡くなった。
2年前から癌で闘病生活、ずっと入院していた。
写真をみるとかなりやつれているが、若いころはキレイだったんだろうなという印象。

◆滝野 洋子(42)
龍之介の現妻。
ずっと、龍之介の愛人だった。2週間前に籍をいれた。
銀行に勤めているらしく、家には夜しかいない。
巻髪で胸元のあいた服を着ている。きれい。

◆滝野 圭吾(30)
沙織の旦那。
自転車屋に勤めていて、龍之介を通し沙織と出会う。
そのまま結婚して、自転車屋の跡継ぎに。
気弱な性格。

◆滝野 菜々美(2)
沙織の娘。
最近言葉を覚えて、真似して繰り返す。

◆佐々木 由紀子(53)
病院の婦長。楓とは幼馴染。
患者さんからや他の看護婦から、慕われていてしっかりした印象。

【滝野家】
県内の一等地に建っている白い壁の大きな家。広い庭には手入れされた季節の花々が咲いている。
ガレージには車が2台とまっていて、ベンツとハマーがある。
部屋の構成は、1階は、リビング、客間、キッチン、お風呂トイレがあり
2階にはリビング、寝室、沙織の部屋、圭吾の部屋、菜々美の部屋、お風呂トイレ
3階にはリビング、寝室、龍之介の部屋、洋子の部屋(元楓の部屋)、お風呂トイレ

【導入】
探索者は、沙織と知り合いとかなんかで沙織に父親を探して欲しいと依頼される。
警察にも頼んでいるけど捜査が一向に進まないのでお願いしたとのこと。
奥さんの隣りには小さい女の子が座っている。
探索者が名前をいうと、にこにこオウム返しする。それを沙織は「最近、言葉を覚え始めてなんでも真似したがるんです」という。

「父がいなくなったのは1週間ほど前です。朝、仕事に出かけそのまま帰ってきませんでした。
今までも、2~3日帰ってこないことはあったのですが、その時は行き先が分かっていましたので…。今回のようなことは初めてです。」

Q.龍之介の職場はどこ?
A.父は県内に自転車屋を3店舗ほど経営しております。自転車タキノという名前の自転車屋です。今は私の夫がほとんど経営を任されています。→探索者は名前や場所を知っててもいいし、すぐ教えてもらえる。

Q.奥さんは?
A.…いております。ただ、言いにくいのですが父は最近再婚致しました。2週間ほど前です。

Q.その再婚した奥さん(洋子)はどこにいてるの?
A.私もよくは知らないのですが、銀行で融資をするお仕事をしているそうです。
今もこの家で生活しています。だいたい朝の9時ごろ出勤し19時ごろにはかえってきます。
どこの銀行かは、聞いても教えて頂けないので知りません。

Q.前の奥さん(楓)は?
A.…1ヶ月ほど前に病死致しました。癌です。2年ほど母の友人が婦長を務める病院で闘病生活しておりました。

Q.前の奥さん(楓)が亡くなる前におかしかった様子は?
A.亡くなる前の数か月間はかなり臥せっていた。息を引き取るとき、しきりに私に謝っていた。どうして謝っていたのかは分からない。

Q.現在の奥さん(洋子)は、愛人だったのでは?
A.気まずそうにする。が、<言いくるめ>や<説得>により話してくれる。
実は長年父の愛人だったようです。 それについては、父の事は嫌悪してるが基本的には尊敬しているし…男性なので仕方ないのかもしれません。

Q.前の奥さん(楓)の遺品はあるか?
A.現在の奥さんが遺品をほとんど捨てた。現在の奥さんのことはどうしても好きになれない。

Q.父親の写真あるか?
A.ある。くれる。

【龍之介の部屋探索】
大きな机やらクローゼットやらがある。
机の中から鍵が4本見つかる。スペアキーと書かれている。
3本は自転車屋の鍵。もう1本はどこの鍵が分からない。(詐欺会社の方の鍵)

【洋子の部屋探索】
洋子の部屋は鍵がかかっていてあかない。
<鍵あけ>や<機械修理>であけると机の引出から名刺がでてくる。
名刺には「融資事務所」と書かれており、住所や電話番号ものっている。

【自転車屋】
普通の自転車屋。
圭吾が働いている。圭吾に聞けること。

Q.行方不明になった日、龍之介はきたか?
A.確かに朝きた。が、1時間ほどで帰っていった。それは警察にも伝えている。

Q.どこにいったか?
A.分からない。

Q.龍之介が行方不明になる前おかしな様子はなかったか?
A.朝、滝野宛に宛名が手書きの手紙が届いた。中身は分からない。
会社関係の書類以外は珍しかったので覚えていた。誰からかは書いていなかった。 その手紙は龍之介がもっていった。

Q.龍之介はどのような人物だったか?
A.正直な話、とても頭の切れる人だとは思うが何年も働いているうちに、少し行動に違和感を感じるようになった。
それは、朝は自転車屋にくるが昼を過ぎるとどこかにいくこと。
結婚してから分かったが家にはかえってない様子。
もちろん経営者なので、忙しいのはわかるが何かおかしい。
あと、ここの経営を任されるようになって分かったが、金回りがよすぎる。
ここの利益だけではおかしい。

Q.洋子について
A.顔をくもらせ、何も話してくれない。が、<言いくるめ>や<説得>により話してくれる。
洋子はずっと愛人だった模様。たまにここの自転車屋にも顔をだしていた。

【病院】
ずっと、前妻を看病していた病院の婦長、由紀子がいる。楓と長年の親友。
由紀子に話聞きたいというと時間をとってくれ。

Q.楓さんは亡くなる前おかしかった様子はなかったか?
A.ずっと書いていた日記を書くのをやめた。
自分の死期を悟ってからは、いつも熱心に本を読んでいた。

Q.楓さんの入院生活は?
A.ずっと旦那さんがお見舞いにくるのを待っていた。さみしそうにしていた。
たまに病室に入ると目があかく泣いているようだった。
旦那さんがお見舞いにくることは一度もなかった。

Q.本と日記はどこに?
A.(少し言いにくそうにするが)私が預かっている。
家族には見られたくないから、と言って亡くなる前に渡された。
日記は、見られたくないだろうと思って読んでいない。
本は、なんだか読む気にならない。嫌な感じがする。

Q.その本と日記を見せてもらえないか?
A.友人の日記を他人に見せるのは抵抗がある。本なら構わない。

Q.日記みたいよーおねがいだよー
A.探索者の行動次第で見せてよい

【本】
薄汚れた分厚い本。表紙には何も書かれていない。
中身を読むとSANチェック 1/1d3
この本は、アリエルという神についてかかれた本ということが分かる。

「アリエルの姿は、一度でも嘘をついたことがあるものはまぶしくてその姿から目をそらしてしまう。
ただし、うそをついたことがないもの、隠し事のないもの、穢れのないものがその美しい姿を見る事ができる。
アリエルの前では真実のみを話さなければならない。
アリエルにうそをつこうとするものは恐ろしい怪物の姿に変身させられてしまうだろう。」

召喚方法:命を差し出して儀式を行う。ひとつだけ、願いをかなえてくれる。ただし叶えるのは死んだあと。
退召方法:穢れのないものが呪文を唱える「ボッカ・デラ・ベリタ」←後々、短い呪文なら何でもいい。
怪物に変えられたものを、元の姿に戻したいときは穢れのないものが「トリトーネ」←短い呪文なら何でもいい。

---ポイント---------
一度でも嘘をついたことがないものとは菜々美のこと。
菜々美にオウム返しで呪文を言わせると退召させられる。
PLが「このキャラ一度も嘘ついたことないんだよねー。」とか言い出した場合は舌打ちすればよい。

【日記の内容】
○月×日
今日から、日記をつけます。
入院生活はあまりにも退屈で副作用による吐き気を少しでも紛らわすためです。
日記といっても、毎日特にすることもないので今までの思い出を記そうかとおもいます。

○月×日
24歳のときに龍之介さんと、仕事場で出会った。
龍之介さんは、わたしをみて「一目ぼれだ」と言ってくれた。
わたしも、頭がよく仕事もできる龍之介さんを尊敬していたし何度か食事に行きお付き合いをすることになった。
お付き合いはとても順調で、わたしは龍之介さんといられて本当に幸せだった。
それから1年後プロポーズをされた。
沙織も生まれ、本当にかわいく龍之介さんもとてもかわいがってくれた。
あの女が現れるまでは。

○月×日
龍之介さんは、謝って「ただの遊びだ。すぐに別れる。」と言ってくれると思っていた。けれど、そうじゃなかった。
龍之介さんからでた言葉は「彼女を愛している。離婚しよう」だった。
わたしは泣きわめいて拒否した。
龍之介さんは、必ず戻ってくる。ただの浮気だ。
離婚はしたくない。わたしだって龍之介さんを愛している。

○月×日
それから、すぐに興信所を使って浮気相手のことを調べた。
女の名前は川崎洋子。私よりも11歳も若くきれいな女性だった。
けれど、興信所が調べてくれたことはそれだけじゃなかった。
彼女は、詐欺まがいのことをしているらしい。そしてそれは、私の旦那も協力している…と。
そういってわたしに証拠を渡してきた。
警察に行きますか?と尋ねられ、わたしは悩んだ。

○月×日
数日間悩んだあと、わたしは警察には言わないでください。と頼んだ。
多額の口止め料を興信所に渡し証拠はいただいた。
龍之介さんは、あの女に騙されているだけ。
もう少し待てば、きっとあの女に飽きて捨てるだろう。
そしたらそのとき、あの女だけ警察に突き出せばいいのだ。

○月×日
しかし、あれから数年が過ぎ、気づけば数十年が過ぎた。
龍之介さんは、今でもあの女と切れていない。
そして、わたしはまだ龍之介さんを愛している。
どうしてもどこかで期待してしまう。
何度裏切られても期待してしまう。

○月×日
今日、病室にあの女がやってきた。ちゃんと言葉を交わすのは初めてだ。
彼女は、きれいに巻かれた髪に高級そうな胸元のあいたワンピースを着ていた。
自分の副作用でつやのなくなった髪や、病院着が恥ずかしかった。
彼女はわたしに椿が植えられた植木を「これお見舞い」と言って渡した。
そしてにこやかに「安心して逝ってね。龍之介さんは、わたしが面倒みますから。」と言ったのだ。
それについカッとなって「あなたは遊ばれてるだけよ!必ずわたしのもとに戻ってくるわ!あの人が愛してるのはわたしなんだから!」と叫んでしまった。
彼女はそんなわたしをみて、鼻で笑ったあと黙って帰っていった。
大きな声をだしてしまったからだろう。由紀子があわててかけつけて、わたしのことを慰めてくれた。

○月×日
入院して1年半になるけど、龍之介さんは一度もお見舞いにきてくれない。
龍之介さんは本当にわたしのことを愛していないのだろうか。
それなら、今までの日々はなんだったのだろう。
わたしが待ち続けた日々は。

○月×日
本当はわたしのことを愛してるはずだ。
真実が知りたい。
わたしの中でどろどろとした憎しみが湧いているのがわかる。
愛してると思い込みたいだけかもしれない。
そうでも思わないと、気が狂ってしまう。

○月×日
今日、おもしろい本を見つけた。
座談室のゴミ箱に捨てられていた本になんとなく惹かれて病室に持ち帰って読んだ。
なんだか、ふつうなら信じないようなことが書かれているんだけど
信じてみたいという気にさせられる。

○月×日
今日、由紀子に私がもう長くないと告げられた。
どうせ死ぬのなら試してみようか…?
もし、龍之介さんがわたしのこと愛してくれていたならわたしは龍之介さんに幸せに長生きしてもらいたい。
けれどもし、わたしのことを愛していなかったのなら、その時は…。

○月×日
願いごとは決めた。
わたしのことを、愛しているか?ときいてもらう。
わたしはその答えを知れないけど、わたしの願いはそれで叶う。
愛していても愛していてなくても、どちらにせよ叶うのだから。

【融資事務所】
洋子の跡をつける、もしくは洋子の部屋でみつけた名刺の住所に行くと6階だてのビルにたどりつく。
ビルの看板には、ひとつだけ何もかかれていない看板がある。
探索者たちがビルの前にたっていると身なりのキッチリした中年男性がでてくる。
声をかけると下記の情報を話してくれる

「君たちは、滝野さんのお知り合いかなにかか!?
もしよければ、お二人にぜひ私に融資のご紹介してくれるように頼んでほしい!
紹介がなければ受け付けてもらえないらしい。」
男性は、とある中小企業の社長。どうしても資金が欲しくて、ここにたどり着いた。
洋子さんと龍之介さんは腕利きのエージェントで2人に頼めば200万の紹介料で銀行に多額の融資の話しを通してくれるということを教えてくれる。

【洋子】
ビルに乗り込むか、洋子を捕まえて拘束し聞き出す。

Qこの仕事は?
A洋子と龍之介は数年前に出会って、一緒にこの仕事をするようになった。
融資して欲しくてたまらない人間はたくさんいるわ。
そういった人間を探して、あとは口車にのせる。必死な人間は判断力が鈍ってる。
200万の手数料だけもらって、あとは融資はできなくなったって伝えるだけ。

Q.龍之介は?
A.前の奥さんが亡くなってから、しばらく後にこの手紙がきたの。
<手紙の内容>
「住所:◆◆町××2-9-8マンション名208号室
あなたの悪事の証拠が全てここにあります。
ここにいる、とある方に預けています。
私が死んで1か月後にあなたの悪事を全て証拠とともに警察に提出してくれと書いてあります。
それが困るのであれば、ここに行って彼の質問に答えてください。
愛しています。」

こんな手紙がくるなんておかしい、ってわたしは何度も止めたんだけど。
行ってしまった。それからかえってこないの。

Q.このマンションにはいかなかったのか?
A.怖くて行けなかった。

【マンション】
普通のマンション。2K。
間取りは、玄関を入ると廊下があり奥に扉がある。
扉をあけると部屋がひとつ。その部屋の奥にもうひとつ扉があり部屋がある。
鍵はあいている。

中にはいると薄暗い。血なまぐさいにおいと排泄物のようなにおい。
廊下の扉が少しだけ開いている。なんらかのうめき声が聞こえる。
扉をあけて部屋に入ると描写

描写『探索者たちが中に入るとそこには大きな2mほどの肉の塊に触手のようなものがはえた怪物がいた。
部屋中に血のにおいと排泄物のようなにおいが充満している。
よくみると肉の塊からは手や足がはえており、目や口もある。
肉の塊は、苦しそうな声を出しながらゆっくりと動いていており、探索者たちをみつけると
ずるずるとはいずって近寄ってくる。』

SANチェック
1/1d3

<怪物のステータス>
STR18 CON12 SIZ19 INT0
POW19 DEX3 耐久力16

触手75%  つかむ または1d6

---ポイント---------
この怪物は龍之介がアリエルに問いに嘘をついたため、この姿にかえられた。
殺す選択も可能。すると、どろどろにとけて排泄物のような液体になる。
その部屋から右奥に扉がみえることを伝える。

龍之介を元に戻す方法:
菜々美しか呪文の効果を発生させることはできない。
菜々美は言ったことを真似するので、菜々美の前で呪文を唱えるとオウム返しで呪文を唱えてくれる!

【奥の部屋】
扉をあけると、中からまぶしい光が・・・!
まぶしくて見れない!
(このときに沙織の娘をつれてきていると、沙織の娘はふつうに中をみてにこにこきゃっきゃっしてることがわかる)

話しかけると話せる。それが発する声の調べは滑らかで夢に誘いこむかのようだった!
神々しいこととか言うんじゃないでしょうか。

もし嘘をついたら怪物にされちゃうよ!
怪物にされた場合はSAN強制消費
1d8

<アリエルのステータス>
STR20 CON30 SIZ12 INT75 POW60
DEX20 APPさまざま 耐久力21
装甲:神性の高潔さによって10ポイントの装甲になる

攻撃は一切してこないが死にかけると呪文を唱える。1ターン消費。
呪文を唱え終わるとほかのグレートオールドワン(何でもよい)を召喚する。

退召方法: 菜々美しか呪文の効果を発生させることはできない。
菜々美は言ったことを真似するので、菜々美の前で呪文を唱えるとオウム返しで呪文を唱えてくれる!

【エンディング】
龍之介を人間の姿に戻すとすぐに目を覚ます。
アリエルに呪文をとなえて退召させると、証拠が手に入る。
その証拠を持ったまま、龍之介に戻ると龍之介が「それを渡せ!」といって襲い掛かってくる。
その場合ステータスなどは適当に決めて下さい。普通のおっさんステータスです。
その際、龍之介の家族がいた場合助けをもとめても助けてくれません。
その証拠が警察に渡れば、今のお金のある生活がなくなってしまうからです。
かといって、龍之介と一緒に襲ってくることはありません。

なんとか、龍之介をおさえつけて警察に証拠を渡せればハッピーエンド!

【クリアご褒美】
SAN値1d6の回復

【まとめや真相】
龍之介はアリエルからの「洋子を愛しているか?」という質問に証拠ほしさにのため「愛してる」と答えた。
「愛していない」と答えれば、証拠は渡してはくれないと考えたため。

【読まなくてもいい感想】
映画アメリカン・ハッスルからパク…インスパイアされて作りました。
1回しかまわしてないシナリオですが、さくさく進んだので簡単だと思います。