【はじめに】
このシナリオは探索者1~3人向けにつくられている。
オリジナル要素を含んでいる。
戦闘あり。
推定プレイ時間(ボイセ):2~3時間
設定的に探索者の年齢は10代後半~30歳前半の方がよいでしょう。
ネタシナリオです。

【シナリオの概略】
痴呆症のおじいちゃんが行方不明に!
「にゃー!」byタマ


【登場人物】
井畑 茂(84)
よぼよぼで痴呆症の孤独な老人


【導入】
舞台はぼちぼちの都会、十二死町という町。
探索者が町を歩いていると、井畑 茂に出会います。
彼はよぼよぼのおじいちゃんで、いきなり探索者に「家はどこじゃ?」と聞いてきます。
茂おじいちゃんは、どうやら痴呆のようで町を徘徊しており家に帰れなくなったようです。
おじいちゃんのポッケを探ると、手のひらサイズの小さな機械と住所を記した小さなカードのようなものが出てきます。
そのカードに名前は書いていません。十二死町二丁目の住所でした。
小さな機械は<知識>に成功するとGPSだということが分かります。

GPSがあるのでほっておいても大丈夫ということが分かりますが、探索者が親切に
住所を頼りにおじいちゃんの家まで送ると、その家がどこかで見たことがあるような家だということが分かります。
<アイデア>に成功すると小さい頃、おじいちゃんの家の隣にある公園で遊んでいた時ボールがおじいちゃんの家に入り窓ガラスを割ってしまい恐る恐る謝りに行くと、少し叱られた後おいしいおはぎを出してくれたことを思い出します。
おじいちゃんは筋の通ったちょっと怖い、だけど優しいおじいちゃんという印象でした。

おじいちゃんを家の中まで送ると、中からデイサービスのスタッフだと名乗る人が出てきて感謝されます。

おじいちゃんの家族のことを聞くと、おじいちゃんの妻はもう他界しており、
その他の家族もデイサービスにまかせっきりで、ほとんど来ないことが分かります。

それから数日後、町で奇怪な事件が起こります。
町の人間が大きな猛獣に噛み千切られたような遺体が発見されるという事件です。

探索者は、その被害者が友人だったとか、もしくはその被害者の家族に依頼されるとか
もしくは単に好奇心からだとかでその事件を解決しようということになります。



【現場に残された情報】
事件が起きたのは十二死町四丁目。
被害者の家族に聞き込みをすると、現場には何か書かれた小さなカードが落ちていたということが分かる。
カードはやぶれていて、よくわからなかったが何か住所のようなものが書かれていたということも教えてもらえる。
住所は十二死町二丁目だということは覚えているがそれ以外は覚えていないらしい。
そのカードはもう警察が持っていってしまったと言われてしまう。
警察関係者の探索者は、そのカードを職場で確認できることにしてもよい。
その場合そのカードには茂おじいちゃんの住所が書かれていたということが分かる。


【十二死町二丁目付近で聞き込み】
聞き込みを開始すると分かる情報。

Q.最近ここらへんで変わったことはないか?
A.茂おじいちゃんの家に警察がやってきていた。
茂おじいちゃんが徘徊して行方不明になっていた。
GPSも壊れていた。家族は捜索願も出していないらしい。

Q.茂おじいちゃんはどんな人だったか? 
A.昔はいい人だった。最近はぼけてしまっていた。
おじいちゃんは、十二死商店街の和菓子屋で売っているおはぎが大好き。

Q.茂おじいちゃんの最近の様子は?
A.怪しい宗教団体がよくおじいちゃんの家に入っていくのを見た。
その宗教団体は、自分の家にもよく勧誘にくる。
おじいちゃんは失踪まえ「神を食べた」など訳の分からないことを言っていたが
誰も相手にしなかった。

Q.なんという名前の宗教団体か分かるか?
A.確か「ショゴス復活科学教団」とか言っていたような…
チラシをもらったが捨ててしまった。


【茂おじいちゃん家】
門の鍵が閉まっている。
<聞き耳>成功で人の気配がしないことが分かる。
<鍵開け>かまわり込んで塀から<登攀>もしくは<跳躍>を使えば中に入れる。
縁側の窓は鍵がかかっていない。
ちゃぶ台、タンス、布団、家電などがある。
ちゃぶ台の上には「ショゴス科学教団」のチラシが置いてある。
そのチラシから住所もゲットできる。
また、冷蔵庫の中を調べるとタッパーにたっぷり詰められたあんこがある。
タッパーには「タマ用」と書かれている。
また、縁側には鈴のついた首輪が落ちている。


【ショゴス科学教団】
雑居ビルの一室に行くと簡易的な研究所のような場所だったが
夜逃げでもしたかのようにフラスコやらビーカー、書類などがちらばっており
教団員は一人もいないもぬけの空だった。
<目星>成功で教団員の手記が見つかる。


【教団員の手記】
〇月〇日
ここに入団してから、3ヶ月経った。
ショゴスというものの肉を食えば不老不死になれると聞いて入団したのに
一向にショゴスは完成しない。

〇月〇日
本当に科学の力でショゴスは生まれるのだろうか?

〇月〇日
そもそもショゴスとはなんなんだろうか?

~日付が空いて~

〇月〇日
今日なんと、ショゴスが完成した!と教祖様がおっしゃった。
まずは実験台になる人間が必要だ。

〇月〇日
実験台になる人間は、井畑 茂になった。
あいつなら、死んでも誰も悲しまないだろう。
明日、あいつに肉を食わせる。

○月○日
やばいやばいやばい。
まさかあんなことになるなんて。
あんな恐ろしいものがいるこんな町で暮らせない。
教祖様に報告すると真っ先に逃げた。
俺たちも早く逃げなければ殺される。


【おじいちゃんのおはぎ好き】
十二死商店街の和菓子屋さんかデイサービスのおじいちゃん担当の人に
おじいちゃんのおはぎ好きについて聞くと、おじいちゃんはおはぎが大好きだったが、
中のモチ米が好きでおはぎのあんこの部分は残していたという情報を教えてくれる。
痴呆症だったが、おはぎのモチ米にに関してはどのモチ米を使っているかなど利きモチ米ができるぐらいで
遠くからでもおはぎのモチ米のにおいだけは分かり、おはぎのモチ米があるところに走って向かっていくというほど大好きだった。
逆にあんこはさして好きじゃないらしい。おはぎの必要性はないように思えるが、モチ米についた少しのあんこがたまらないとのこと。

また、デイサービスの人に「タマ」という名を尋ねると、たまにおじいちゃんの庭に来ていた猫だと教えてくれる。
おじいちゃんはその猫をとても可愛がっており、飼い主のつもりだった。


【おじいちゃんの家族】
おじいちゃんの家族に聞き込みをしてもちゃんと取り合ってくれない。
いなくなって清々したといった様子。
GPSのことを尋ねると十二死町四丁目あたりで壊れていたのが落ちてたと教えてくれる。


【おびき寄せ作戦】
おびき寄せ作戦には2パターンあります。
モチ米で呼び寄せるか、おはぎをそのままもしくはあんこのみで呼び寄せるかです。
前者はハッピーエンド、後者はバッドエンドになります。

☆モチ米おびき寄せ作戦
十二死町四丁目あたりでおはぎのあんこを取り除いたモチ米を置いて待った場合
しばらくすると怪物が現れる。

<試食した怪物(オリジナル)>
描写『探索者がモチ米の様子を見張っていると、ものすごい早さでモチ米の前に怪物が現れた。
それは、原型が何か分からないほど不定形な形で、大きさは2mほどあろうか赤黒い肉塊と骨は
外に飛び出していた。しばらくモチ米のあんこを舐めとると、探索者に気付き攻撃態勢に入った。』

SANチェック
1/1D6
STR16 CON20 SIZ22 INT3 DEX28
耐久力 21
DB +1D6
武器 かぎづめ 40% 1D6+DB
装甲 なし

探索者がSANチェックを終わらせると、探索者の後ろに異様な気配を感じます。

描写『後ろに立っていたのは、見知った老人井畑 茂だった。ただし、顔以外は全くの別人だった。
2mはある身長、ゴリラのような筋肉、曲がっていた腰はまっすぐになっており、目からは力強い意思が感じられる。「タマ、来い。わしが楽にしてやろう。」そう言うと老人も戦闘に加わった。』

<スーパー茂おじいちゃん(オリジナル)>
STR28 CON28 SIZ22 INT18 DEX22
耐久力 25

DB +2D6
武器 キック 99%
拳 99%
装甲 なし


戦闘中おじいちゃんは、よけた時は「ふっ…残像じゃよ」とか言ったり「お前の力はその程度か?」とか
うざかっこいいセリフを吐きます。

戦闘終了後は<エンディングA:タマとの別れ>へ


☆おはぎorあんこでおびき寄せ作戦

<試食した怪物(オリジナル)>
描写『探索者がモチ米の様子を見張っていると、ものすごい早さでモチ米の前に怪物が現れた。
それは、原型が何か分からないほど不定形な形で、大きさは2mほどあろうか赤黒い肉塊と骨は
外に飛び出していた。しばらくモチ米のあんこを舐めとると、探索者に気付き攻撃態勢に入った。』

SANチェック
1/1D6
STR16 CON20 SIZ22 INT3 DEX28
耐久力 21
DB +1D6
武器 かぎづめ 40% 1D6+DB
装甲 なし

おじいちゃんは出てこず普通に戦闘してください。

戦闘終了後は<エンディングB:茂だったのか…?>へ

☆おびき寄せ作戦を使わない
おびき寄せ作戦を思いつかずに、十二死四丁目に行くと雑草がぼーぼーの空き地を見つけます。
空き地を<目星>成功するか、中に入って探索すると怪物がいるので描写に入ってください。

戦闘終了後は<エンディングB:茂だったのか…?>へ


【エンディング】
<エンディングA:タマとの別れ>
怪物の息の根を止めると、溶けるようにして怪物は消えてしまった。
おじいちゃんは怪物が消えたところに行き「ありがとう」と一言いうと探索者にことの顛末を説明します。
宗教団体が黒いつぶつぶのついた塊を持ってきて「神の肉」だと言って無理やり食べさせようとした。
一口食べたところでタマが急にやってきてその「神の肉」を奪い食べた。
タマは目の前で、怪物になってしまった。それを見て宗教団体は逃げて行った。
自分は痴呆症だったが、その日の夜身体の異変を感じた。筋肉が膨張し、頭が冴えわたった。
タマは自分のことをかばってくれたのかもしれない。
何が起こったかはっきりと理解しタマを苦しみから解放するため探していた。
「これから、わしはまだやらねばならんことがある。
あの宗教団体を野放しにはできん。また、会うことがあればどこかでな。
若者たちと一緒に戦えて楽しかったぞ。」
と言ってものすごい早さでどこかへ走り去ってしまう。


<エンディングB:茂だったのか…?>
怪物の息の根を止めると、溶けるようにして怪物は消えてしまった。
あの怪物は茂だったのだろうか?
それはもう分からない。
優しかったおじいちゃんを殺してしまったかもしれない。
そんな気持ちの晴れなさだけが探索者の心にいつまでも残った。


【エンディング・クリアご褒美】
<エンディングA:タマとの別れ>
SAN値 1D6の回復


【まとめや真相】
カルト教団が作り出したショゴスを無理やりぼけたおじいちゃんに食べさせようとした!
おじいちゃんは一口食べたあと、タマに残りをとられる!
一口だけ食べたおじいちゃんは筋肉もりもりに変容、タマは怪物になってしまった!
おじいちゃんはタマを楽にしてやるためずっとタマを探していたが、おはぎのモチ米につられてやってくる!


【読まなくてもいい感想】
twitterで「#フォロワさんが考えたタイトルからシナリオをつくる」というタグを入れたツイートに
「試食~茂が見たもの~」というリプライを頂いたのがきっかけで作ったシナリオです。