【はじめに】
このシナリオは探索者2人向けにつくられている。
オリジナル要素を含んでいる。
戦闘なし。
推奨技能:図書館、人類学or歴史orオカルト
推定プレイ時間(ボイセ):1~2時間
探索者は各々、名前に鶴と亀の文字を入れること。
名前に入れるの嫌だったら鶴と亀が大好きとか縁のあるなんかにすること。
シナリオの都合上、宗教関係の職業についてる探索者は向いていないかもしれませんが
そのあたりはKPにお任せします。

このシナリオを使った動画を作りました!
肉声の絵付き動画です!よかったら観てください!


【シナリオの概略】
探索者はある日大きな手に掴まれ、四角い部屋に閉じ込められてしまう!
謎を解いて空間から抜け出そう!


【導入】
季節は夏、8月です。
探索者が町を歩いていると空から巨大な手が現れた。
その巨大な手は探索者にしか見えていないようで、町の人々は全く異変に気づいていません。
手は探索者を簡単に掴むとそのまま空高く持ち上げます。
探索者は持ち上げられながら気を失ってしまいます。

SANチェック 0/1D3

気を失ってから、目が覚めるまでの間にかごめ歌がきこえます。

「かごめかごめ
かごのなかのとりは
いついつでやう
よあけのばんにつるとかめがすべった
うしろのしょうめんだあれ?」

このイベントは各々の探索者に同じことがおこります。


【目覚め】
探索者が目覚めると四角の部屋にいて、椅子に座らされています。
正面には扉、後ろには一面に貼られた大きな鏡があります。
それ以外の部分は全て本棚で埋め尽くされています。
部屋の中央には小さな箱があります。

本棚を調べると、宗教学、科学、民族学などそれ以外にも様々な種類の本があることが分かります。

扉を調べると、扉は開けようとしても開きません。鍵穴があることが分かります。

中央に置かれている箱を調べると、箱の中に2つの鍵と懐中時計が入っていることが分かります。
1つのめの鍵は柄の部分が六芒星の形をしています。


2つめのの鍵は柄の部分が卍の形をしています。


懐中時計は0時を指しています。
<知識>に成功すると、今の季節夜明けは5時ごろだということを探索者たちは知っています。

この鍵で扉を開くことができますが、六芒星の鍵は名前に亀という文字が入った探索者しか扉を開けることができません。
逆に卍の鍵は名前に鶴という文字が入った探索者しか扉をあけることができません。


鏡を調べると、とくに普通の鏡だということしかわかりません。
ただし、鏡を割るなどの行動をとると描写。
描写『鏡は大きな音をたてて割れた。鏡があったその場所には、大きな窓があった。
窓からは、長円形の大きな白、そしてその中には円形の黒いものがある。
それは一見大きすぎて何か分からなかったがすぐにあなたたちは把握する。大きな"瞳"だった。
大きな瞳があなたたちをじっと窓からのぞいているのだ。』

SANチェック 1/1D4+1


【六芒星について調べる】
<人類学>or<考古学>or<歴史>or<オカルト>に成功するか、本棚の本から調べることができる。
本から調べる場合は<図書館>技能に成功すれば30分で調べられる。失敗した場合は1時間かかる。

六芒星は亀の甲羅を模してつくられたものだという説があることが分かる。


【卍について調べる】
<人類学>or<考古学>or<歴史>or<オカルト>に成功するか、本棚の本から調べることができる。
本から調べる場合は<図書館>技能に成功すれば30分で調べられる。失敗した場合は1時間かかる。

卍とは、吉兆を呼ぶとされる鳥が飛ぶ様を起こしてできた漢字であるという説があることが分かる。


【かごめの歌詞について調べる】
<人類学>or<歴史>or<オカルト>に成功するか、本棚の本から調べることができる。
本から調べる場合は<図書館>技能に成功すれば30分で調べられる。失敗した場合は1時間かかる。
かごめ歌の歌詞は様々な解釈があると分かる。

解釈1:流産説
かごめかごめかごのなかのとりは→お腹の中の赤ちゃんは
いついつでやう→いつ生まれてくるだろう?と楽しみにしていた女性がいた。
よあけのばんにつるとかめがすべった→暗い夜に、誰かに押され階段から落ちて流産してしまった。
うしろのしょうめんだあれ?→誰が押した?

解釈2:囚人説
かごめかごめかごのなかのとりは→閉じ込められた囚人は
いついつでやう→いつ出られるのか?
よあけのばんにつるとかめがすべった→夜、囚人は脱走した
うしろのしょうめんだあれ?→脱走を手伝ったのは誰か?

解釈3:神示説
かごめかごめかごのなかのとりは→肉体に閉じ込められたあなたは
いついつでやう→いつ肉体から解き放たれるのか?
よあけのばんにつるとかめがすべった→夜明けに鶴と亀が統べた
うしろのしょうめんだあれ?→「自分」とはいったい誰か?



【六芒星の扉の中】
鍵を扉にさすと、扉に六芒星のマークが浮き上がり扉の鍵が開きます。
名前に亀の文字が入った探索者が六芒星の扉に触れると簡単に中に入れます。
名前に鶴の文字が入った探索者が扉に触れても何も反応せず開きません。

中に入ると、そこは鬱蒼とした竹藪の中でした。
竹藪の中には人が通れそうな道が一本だけあります。
その道を進んでいくと、階段があります。階段の上には鳥居が見え、どうやら神社があるようです。
探索者がその階段を上り頂上に近づいたときと、着物を着た大きなお腹の女性が現れます。

女性は、大きなお腹をなでながら幸せそうに階段を下りるため足を一歩踏み出します。
その時、探索者を連れ去った大きな手が後ろから現れます。
手は女性をトンッと押すと、女性は足を踏み外し階段から落ちそうになります。

これは探索者が2人で協力して助けると宣言すれば補正で自動成功になります。
1人しか助けると宣言しなかった場合はSTR10との対抗ロールに成功しなければ助けられません。
その他適切な技能があれば、それを使用してもいいです。


☆助けられなかった場合
女性はそのまま階段を落ちていき、お腹をかかえて呻きます。
そして下腹部から出血し、そのまま息絶えてしまいます。

SANチェック 0/1


☆助けられた場合
女性は探索者2人にとても感謝します。
また「あなたがた2人からは神々しい雰囲気を感じます。」みたいなことを言います。



【神社の中】
階段の上には神社があります。
探索者が<目星>に成功すると、境内の中に先ほどの手が吸い込まれるようにして入っていくのが分かります。
この神社にはなんという神が祭られているかは分かりませんがあちこちに鶴と亀の像が祭られてあります。

境内には鍵がついています。その鍵は、六芒星の鍵で開きます。
境内をあけて中に入っても先ほどの手はどこにも見当たりません。
代わりに真ん中に小さな亀の形をした美しい石が落ちています。

その石を拾うとあたり一面が真っ白に光り、やがて探索者たちは意識を失います。
目覚めると、元の四角い部屋に戻っており、もう六芒星の扉は開かず中には入れません。
帰ってくると1時間たっています。


【卍の扉】
卍の鍵を扉にさすと、扉に卍のマークが浮き上がり扉の鍵が開きます。
名前に鶴の文字が入った探索者が扉に触れると簡単に中に入れます。
名前に亀の文字が入った探索者が扉に触れても何も反応せず開きません。

中に入ると、そこは冷たいコンクリートの壁に簡素なベッドが一つ、鉄格子で閉ざされた独房でした。
そして、そこには男が一人います。
男はあなたたちが入ってくるとすごく驚きます。

しかし、すぐに
「もしかしてあなた方は、私の望んだ神の使いではないですか?」
と尋ねてきます。

男と打ち解けると、男は自分の身の上を話し出します。
「私は、罪をおかしていないのです。
ある日、家に帰ると妻が暴行され死んでいました。
恥ずかしながら、妻は浮気癖があり私たちは頻繁に言い争いをしていましたから、犯人の手掛かりは見つからず私が殺したという判決が下りました。
しかし、私は妻を殺していません!妻のことを愛していたんです!

そして、さらに不幸が…。
昨日、娘から「最近、付け狙われている気がする。怖い。」ということが書かれた手紙が来ました。
娘も妻に似て美人です。
私はもう気が気でなくて、神に『娘を守りたい。ここを抜けださせてくれ。』と願っていたのです。」

探索者が<心理学>を使えば彼が嘘をついていないことが分かります。


【独房】
独房には、簡素なベッドと机、むき出しのトイレがあります。

机を調べると、机の上には「ID説と世界の神々」と書かれた本が置かれています。
彼に本について尋ねると「図書室に本があったので、興味が湧いて読んでいた。」と答えます。
探索者が<人類学>or<オカルト>に成功すればID説について知っていていいです。
知らなければ、彼に尋ねると答えてくれます。

ID説とは、インテリジェント・デザインと言い、宇宙や自然界、人間の発展には何らかの神の意志や手伝いがあったとされる説である。彼は信心深いようです。

独房の扉を調べると、鍵がついていることが分かります。
その鍵は、卍の鍵で開きます。

鍵をあけて彼を逃がす決断を探索者がすると彼は大変喜びます。
「ありがとうございます、ありがとうございます!
やはりあなた方は神の使いだ!!
これがお礼になるかは分かりませんが、私の家で代々受け継がれてきた石です。」
そういって、鶴に似た鳥の形をかたどった美しい石を渡してきます。

それを受け取ると一面が真っ白に光り、やがて探索者たちは意識を失います。
目覚めると、元の四角い部屋に戻っており、もう卍の扉は開かず中には入れません。
もし、探索者が本などを手に持ってた場合はそれらも一緒に部屋に持ってかえっていて構いません。
帰ってくると1時間たっています。


【ID説と世界の神々】
この本を読むには1時間ほどかかります。
<日本語>ロールに成功すると30分ほどで読めます。
下記のようなことが書かれています。

インテリジェント・デザインとは、神と神から作られた神々の分身が宇宙や自然界、人間を創造し発展させたという考え。
また神のことをヘプライ語では「エル」と呼び、その複数形が「エロヒム」と呼ばれている。
日本では「鶴」と「亀」は長寿と繁栄を象徴する吉祥の動物とされ、神の使いという説もある。

本には「エロヒムの紋章」という図がのっている。




【六芒星と卍の鍵を重ねる】
2つの鍵を重ねると、ぴったりと重なり柄の部分はエロヒムの紋章と同じ形になり1つの鍵になります。
その鍵を扉の鍵穴にさすと、扉にはエロヒムの紋章のマークが浮きあがり、2人で扉に触れると光扉が開きます。

扉の中に入ると、そこは美しい幻想的な世界でした。
どこまでも続く草原に、空を見渡せば宇宙そのもののような星空が見えます。
心地のよい風が吹き、花のほのかな香りがあなたたちの鼻さきをかすめた。

その草原には、ぽつんとひとつ鳥かごがかけられている。
鳥かごの後ろには、小さなサイドテーブル、そのうえに黄金の羽で作られた羽ペンとインク、紙がある。
鳥かごの中には黄金に光る美しい鳥がいた。

その鳥はあなたたちの頭にさえずるような声で話しかけてきます。

『お久しぶりですね。
さあ、私の後ろにある紙にひとつの答えを書きなさい。
私が、届けましょう。』

この鳥はそれ以外ヒントのようなものは話してくれません。
ただ、どうしても探索者が何の答えか分からないようなら
『最初に聞こえた歌があるでしょう?
その答えです。』と教えてくれます。

さらに悩んでいそうなら、
『全ての歌は繋がっています』とかヒントあげてもいいかも。

鳥かごには南京錠がつけられています。
南京錠には、鍵穴のようなものはありませんが、石を2つはめ込めるようになっています。
1つは鶴の形をした穴、もう一つは亀の形をした穴があります。

手に入れた石をはめ込むと南京錠の鍵があけられます。

探索者たちは紙に答えを書くとその鳥が紙を掴み空高く飛んで行きます。
鳥が見えなくなるほど高く飛ぶとあたり一面が真っ白の世界になります。

<創造主>オリジナル神格
描写『真っ白な世界の中に、光り輝く人影が現れた。
その人影は、白く長い顎髭を生やした老人で絹のような布を纏い、手には杖を持っている。
肩には先ほどの黄金の鳥がとまっており、美しく輝いていた鳥よりも、もっと崇高で荘厳な輝きを老人はまとっていた。
あなたたちは、その老人に敬意と尊敬の感情が溢れるようにして湧きあがったが比例するように恐怖の感情も現れた。
彼は澄んだ声であなたたちに話しかける。』

SANチェック
0/1D2


☆紙に「神」「創造主」「神の使い」「エロヒム」など、とにかく神や神の一部であるような内容のことを書いた場合
エンディングA<神の使い>へ

☆紙に神とは関係ないことを書いた場合
エンディングB<神の一部に戻る>へ


【エンディング】
エンディングA<神の使い>
「久しぶりじゃのう。
おぬしらが導き出した答えの通り、わしは世界の創造主で、おぬしらはわしの使いじゃ。
こういったことをしたのは、おぬしらにそれを思い出させるためでもあるが、おぬしらの能力が衰えていないか試すためでもあった。まずまずの合格点といったところか。」

そこまで言われるとあなたは思い出します。
遠い遠い昔、あなたたちは神の分身であったこと、神の使いで人間の繁栄を手伝いつづけたこと。
輪廻転生を重ねるうちに、その使命を忘れ人間として暮らしていったこと。

「まあ、おぬしらは人間と同じ能力しかないからの、忘れてしまうのは無理はないかもしれん。
これは今回の褒美じゃ。
これからは、自分の使命を忘れんように、人間を見守り時には助けてやるんじゃよ。
もし人間が地球にとって害悪にしかならんようなら、絶滅も考えにゃならんからな。
わしは、もう行く。達者でな。」

そういってあなたたちに○○(探索者の欲しい呪文)の呪文を与え、消えてしまいます。
あなたたちは、意識を失い目覚めると元いた場所に戻っています。



エンディングB<神の一部に戻る>
「久しぶりじゃのう。
おぬしらが導き出した答えは間違いじゃ。
こういったことをしたのは、おぬしらにそれを思い出させるためでもあるが、おぬしらの能力が衰えていないか試すためでもあった。すっかり衰えてしまったようじゃのう。
おぬしらにはもう任せておけん、わしの中へ戻れ。」

そういうと、老人は巨大化しあなたたちを軽々とつかむと一口で丸のみしてしまいます。
あなたたちは薄れゆく意識の中で自分の身体がとけていく感覚が分かります。


エンディングC<何もかも謎のまま>
もし探索者が5時までに答えを出せなかった場合は、このエンディングになります。
懐中時計が5時を指すと突如、探索者たちの目の前は暗転します。
そして、闇の中から「時間がかかりすぎじゃ。おぬしらには呆れた。わしの中へ戻れ。」という声が聞こえ
探索者たちは何かに掴まれ身体を掴まれそのまま飲み込まれ死んでしまいます。
あなたたちは薄れゆく意識の中で自分の身体がとけていく感覚が分かります。


【クリアご褒美】
・エンディングAのみ
探索者の好きな呪文
SAN値1D6の回復


【まとめや真相】
探索者2人は実はもともと神の使いだった~!!
2人はそのことを忘れていた~!
神は2人を捕まえ、2人に自分の存在を思い出させようとした~!!


【考察の仕方】
かごめ歌の解釈1~3の全てがつながっていて、それがヒント。
「うしろのしょうめんがだれか」を考えると全ての解釈で『神、もしくは自分たち』になる。
シナリオの各所で、鶴と亀(つまり自分たち)は神の使いであるというヒントがある。
また他のかごめ歌の解釈として今回のこの状況にもあてはめられる。

かごめかごめかごのなかのとりは→四角い部屋に閉じ込められた探索者は
いついつでやう→いつ出られるのか?
よあけのばんにつるとかめがすべった→夜明けの晩に探索者2人がすべった(統べる、もしくは失敗?)
うしろのしょうめんだあれ?→探索者が座っていた後ろの鏡から見ていたのは神

他にも最後の草原に籠の中に閉じ込められいる後ろにあるのは「紙」というだじゃれ的なヒントもありますw


【読まなくていい感想】
ぶっとんでるシナリオですみませんでした!
エロヒムの紋章は、本物のとは違った形にしています。